流行性耳下腺炎(おたふく風邪)
流行性耳下腺炎(おたふく風邪)とは?
流行性耳下腺炎(おたふく風邪)は、発熱と耳下腺(耳の下)が腫れる病気です。原因はムンプスウイルスの感染で、接触・飛沫感染によりうつることがあります。左右の耳下腺が腫れることが多いですが、片方のみの場合もあります。
感染すると2~3週間の潜伏期を経て、唾液腺(耳の下)の腫れ・痛み、飲み込んだ時の痛み、発熱を主症状として発症し、通常1 ~2週間で治ります。
流行性耳下腺炎(おたふく風邪)の診断・検査
当院では流行性耳下腺炎の診断のために血液検査(採血)を行っています。
血液検査の結果が出るまでには1週間程かかるため、初診時は以下のことから診断しています。
●患者さんの症状(耳の下が痛い・腫れている、熱がある)
●保育園・幼稚園・学校・職場などで流行している
●今まで、おたふく風邪になったことがない
●おたふく風邪の予防接種をしていない
など
合併症予防のためにも、予防接種が大切!
流行性耳下腺炎(おたふく風邪)は多くの場合、軽症ですが、まれに合併症として髄膜炎、膵炎、精巣炎、内耳炎による難聴(ムンプス難聴)などを併発することがあります。特に難聴は、一生治らないことも多いため注意が必要です。
流行性耳下腺炎(おたふく風邪)と合併症を予防する方法は「予防接種」しかありません。ワクチンを受けると約90%の人に免疫がつくと言われています。ワクチンを受けていてもかかってしまうことがありますが、多くの場合かかっても症状が軽くすみます。
保育園・幼稚園・学校の休みについて
腫れが外から見て分からなくなるまでは、他の人にうつす可能性がありますので、約1週間は休むようにしましょう。
*流行性耳下腺炎は、感染を広げないために学校保健安全法により「耳下腺、顎下腺又は舌下線の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで出席停止」と決められています。
大人も感染することがある
流行性耳下腺炎は、お子さんから親御さんに感染することも多い病気です。大人の方が子どもよりも症状が強く出ると言われています。子どもの頃に流行性耳下腺炎(おたふく風邪)に感染したかどうかがはっきりしない方は、大人でも予防接種をお勧めします。なお以前、おたふく風邪にかかったことのある方がワクチンを受けても問題はありません。
流行性耳下腺炎(おたふく風邪)の治療
現時点では、ムンプスウイルスそのものに対する効果的な治療法がありません。そのため、流行性耳下腺炎とその合併症の治療は、基本的に対症療法となります。
●発熱:鎮痛解熱剤を投与
●脱水:点滴による輸液の投与
など