診療内容

滲出性中耳炎

滲出性中耳炎とは?

中耳炎の中でも「中耳」(鼓膜の奥の部分)に液体(浸出液)がたまる中耳炎のことです。

中耳に液体がたまった状態が続くと、鼓膜が動きにくくなり、

耳がつまった感じ

聞こえにくい

耳なり

耳が痛い

耳を触る

などの症状が現れます。

中耳炎というと「激しい痛み」「発熱」を伴うことが多いイメージかもしれませんが、滲出性中耳炎は痛みや発熱がない場合もあります。そして急性中耳炎と比べると治療に時間がかかるケースも多いです。

幼児期のお子さんは自覚症状を伝えることが難しいので、発症に気づきにくい病気でもあります。

滲出性中耳炎の治療方法

下記の治療を選択します。

内服治療

鼻の症状が伴う場合、鼻の炎症が滲出性中耳炎の原因となっている場合が多いため、鼻の治療を行います。レントゲンやCT検査などで慢性副鼻腔炎が認められた場合、副鼻腔炎の治療を行います。

 

鼓膜切開

鼓膜の切開を行い、鼓膜内の液体を除去することで治癒を促します。鼓膜に麻酔をして切開するので痛みはほぼありません。鼓膜切開の穴は1週間ほどで閉じるため切開を繰り返しても鼓膜への影響はほとんどありません。(まれな確率で穴が残ることがあります。その場合、鼓膜を塞ぐ手術を受ける必要があります。)

ただし、小児の滲出性中耳炎の治療目的に鼓膜切開を単独で行うことは推奨されていません(小児滲出性中耳炎診療ガイドライン2015年)

 

鼓膜チューブ留置術

鼓膜切開を何度も繰り返すようであれば鼓膜チューブを入れることをお勧めしています。

小児に関しては発症あるいは診断から3か月以上遷延しており、中等度以上の難聴や鼓膜の病的な変化が起きているような場合は、短期留置型の鼓膜チューブを入れることをお勧めしています。チューブを入れることで、中耳に常に空気がある状態を維持し、水が貯まらない状態にします。そうすることで中耳の粘膜が正常に戻るのを期待する治療です。

症状がなくても、完治まで治療の継続を

急性中耳炎と比べると、滲出性中耳炎は「痛み」や「発熱」などのつらい症状が出ない場合もあるため、気付かず放置されてしまうことや、完全に治療を終えずに過ごしてしまうことがあります。滲出性中耳炎を長引かせると、大人になってから慢性中耳炎や真珠腫性中耳炎に悩まされることがあり、注意が必要です。滲出性中耳炎と診断されたら、完全に治るまで治療をつづけることが大切です。

「鼻」や「のど」の治療も大切です

急性中耳炎の回復期において、通常、中耳に溜まった液体は耳管から鼻やのどに流れていきます。しかし鼻や耳の炎症がきっかけで耳管の機能が低下すると、液体が中耳にとどまったままになってしまい、急性中耳炎から滲出性中耳炎になってしまうことがあります。

急性中耳炎から滲出性中耳炎へ移行しないように、鼻・のどの状態も観察・治療することが大事になります。

滲出性中耳炎の再発

過去に滲出性中耳炎になったことがある方は、風邪によって滲出性中耳炎が再発する可能性があります。特にお子さんは自覚症状を伝えることが難しい場合もあるため、風邪を引いたら早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。